わきの下

ワキガ/多汗症(キューサ法・ボトックス)

アポクリン腺を切除して匂い・多汗の悩みを根本から解消します。非手術としては、ボトックスが有効ですが、効果は約4〜6ヶ月です。
当クリニックでは、ワキガ手術治療として、超音波治療器ソノペットを設置しています。
従来の手術と違い、出血が少なく術後の回復が早いのが特徴です。また、傷跡も小さく
(1.5cm以下)、美容的にも優れ、広範囲のアポクリン腺をその切開から除去することが
できます。手術時間は左右で40分程度です。

ワキガ(腋臭症)の原因

腋の下の汗がにおう状態はワキガ(腋臭症)と呼ばれています。
腋臭症はアポクリン汗腺からの分泌物と皮脂を皮膚表在の雑菌が分解して特有の匂いを生じるもので、衣類の黄ばみも生じます。(精神的な緊張などでエクリン汗腺からの発汗が多い状態が多汗症です。) アポクリン汗腺から分泌される汗がにおう体質は遺伝します。
男女関係なく出現して、片親に腋臭症があると確率的に半数が腋臭症になります。人種的には黒人が最も多く、次いで白人東洋人に順序で特に日本人には少ないといわれています。
したがって欧米人では腋臭症の人が多いため、病的な状態とは受け取られてません。日本人は腋臭症の人が少ないために 腋臭があることにより精神的苦痛を感じている人が多くいます。

匂いに敏感になりすぎて『周囲の人が自分のにおいを気にしているのではないか?』と思い込んでしまう自己臭妄想に悩まされている患者さんも見受けられます。
診断は、においの確認・においが発生する時期・衣類の黄ばみ・耳垢の状態・家族歴などを総合的に判断して行い、治療法に結び付けていきます。

汗腺の種類
  • エクリン汗腺 エクリン汗腺は人間の体表のほとんどに存在して、その数は約300万個と言われています。人間の 進化の過程で獲得した汗腺で、他の動物ではほとんどアポクリン汗腺のみです。汗の出口(汗口)は皮膚表面に直接つながっています。(図を参照)体温が上昇 すると全身のエクリン汗腺から発汗が増えて、体温調節をおこなっています。
  • アポクリン汗腺 思春期になって、始めて身体の一定の部分に限られて発育してくるものです。これがある部位は腋 の下・乳首の周り・へその周り・外陰部の周りです。エクリン汗腺のように独自の汗の出口(汗口)をもっていないので、毛の生えているところの毛口から皮膚 表面に排出され、また、アポクリン汗腺からでる汗には、タンパク質が多く含まれて白く濁っています。

ワキガ(腋臭症)の治療方法

  1. 外用剤市販の制汗剤は、発汗を抑えるのは難しく、一時的なワキガの防臭剤と考えたほうがよいでしょう。医療機関での治療としては塩化アルミニウム水溶液や殺菌作用を有する外用剤の塗布を指導します。当クリニックではミョウバンとイソプロピルメチルフェノールを配合した制汗作用と抗菌効果があるD-barをお勧めしています。市販のものよりは効果を長く認めますが、やはり一時的です。
  2. 理学的療法 腋毛の脱毛処理(針脱毛も含む)で、ワキガの軽減効果があるという記載もありますが、ワキガの原因となるアポクリン汗腺を焼灼することはできないため、あまり効果は認めません。
  3. 心療内科的治療法 においに敏感になりすぎている体臭恐怖症や精神的発汗が多い人は心療内科・精神科専門医の受診をお勧めします。
  4. ボツリヌス治療 自律神経の働きを弱める作用により発汗を抑制します。麻酔クリームを塗って30分後に片側約30か所にボトックスを注射します。その場で 簡便にできる反面、効果の持続は4〜6ヶ月となります。当クリニックでも行っています。
  5. 手術療法 アポクリン汗腺を手術によって取り除く方法です。主に4種類の方法があります。
    クリニックの宣伝などで○○式など特別な事を強調している施設もありますが、すべては下記の方法のどれかに含まれます。

1)切除法

腋毛の生えている部分の皮膚を切除縫合する方法で、Z型やW型に縫合することもあります。
古くからの方法ですが、傷跡が長く幅が太く目立ち、またすべて腋毛のところを切除することができないため、ほとんど今では行われていません。

2)剪除法

腋の皮膚切開部(3〜5cm)から皮膚を反転させて皮膚の裏側にあるアポクリン腺を直視下にハサ ミで取り去っていく方法です。
特別な手術器具を必要としないため、最も多く行われています。術後の安静を確実に行う必要があります。直視下で行うため手術した範囲は確実にアポクリン汗 腺を除去できる反面、傷がやや長いこと、1か所の切開からでは広範囲にアポクリン汗腺が取れないことなどが欠点です。

3)剥皮法

カミソリの刃がついた皮下組織削除器(稲葉式など)を皮下に挿入し、皮膚の裏側を削り取る方法 です。真皮下部も削り取るため手術を行った範囲は最も効果があります。
しかし皮膚壊死や醜状瘢痕などのメジャーな合併症も多く、術者により結果が大きく違う方法です。アポクリン汗腺を取る範囲は問題ないですが、合併症が多いため習熟したドクターを選ぶ必要があります。

4)キューサ法(超音波メス吸引法・吸引法)

超音波メスは、消化器外科や脳神経外科で広く応用されており、超音波振動で組織を破砕して吸引除去するもので血管や神経への ダメージが極めて少ないためほとんど出血させずにアポクリン汗腺を除去で きます。傷は1〜1.5cmと小さく広範囲にアポクリン腺を除去でき、術後の安静も少なく済む反面、アポクリン腺除去が不確実になることがありますので、 やはり器械に精通したドクターを選ぶ必要があります(使用法によっては剪除法とほぼ同様に除去することが可能です)。
当クリニックでは主にこの超音波メス吸引法を行っています。剪除法などに比べてアポクリン汗腺除去は不完全かもしれませんが、アポクリン汗腺は腋毛の部位よりも広く存在しており、合併症も少なく広範囲に除去することのできる超音波メス吸引法が一番理にかなっていると思います。脂肪吸引器を使って特殊なカニューレで掻破・吸引する方法もありますが、傷が、非常に小さいということが利点と思いますが、効果はキューサ法に比べて劣ります。
私はワキガの手術は、手術したかどうかわからない程度の傷で、臭いが80%以下に軽減出来るほどの効果を上げれば手術の目的はほぼ達したと考えています。

当院ではボツリヌス治療とキューサ法を採用しています。

当院に非常勤の北里大学形成外科美容外科教授・武田啓先生と横浜すずきクリニック院長・鈴木の連名で手術療法について執筆した、『腋臭症・多汗症:治療実践マニュアル』(全日本病院出版)より一部抜粋。